『真夏のオリオン』レビュー
今回は映画『真夏のオリオン』(以下、本作)についてです。一部ネタバレありです。
総評: 70/100 爽やか系の戦争映画。死(=絶望)でなく、生(=希望)のために戦う姿は喝采に値する。
舞台は昭和20年8月の沖縄本島付近の海域。敗色濃厚の状況下、潜水艦イ-77は米軍の沖縄への物資補給を断つため潜航を続けていた…。
物語は現代から始まる。米国から届いた奇妙な手紙(60数年前に祖母か書いた自筆の楽譜が同封されていた)を受けた若い女性が手がかりを掴むべく、祖父がかつて艦長を務めていた潜水艦の最後の生き残りに会い、当時の話を聞くところから始まる。
イ-77は物量に劣る中、十分な戦果を挙げていた。状況判断に優れた現実的楽観主義者の艦長をはじめ乗員もよく統率されていた。戦況は悪化の一途を辿っていたが、米軍の物資補給を断つことは銃後の安全に直結することを知る乗員たちは強い使命感を持っていた(イ-77は本土に最も近い海域で活動していた)。
そんな折、米軍の大規模補給部隊がイ-77の海域に侵入してくる(つまり、他の艦隊は撃沈されてしまった)。首尾よく狙い目のタンカーの撃沈に成功したが、駆逐艦に激しく追われてしまう。
ここからが本作の見せ場の海中戦になる。魚雷数が限られたイ-77は思い切った作戦で打開を試みるが…。
物語の展開は、海中戦の合間に過去の挿入が入るよくあるスタイルで進んでいく。予定調和的に話は進んでいくが、テンポは悪くなくストレスは感じない。戦争中なので乗員たちが背負っているもの(帰りを待っている家族や恋人)は重く、わかっていても胸が痛くなる。
本作には人間魚雷回天も登場するが、その利用方法が面白い。絶望的な状況下でも理性を失わなかった軍人の矜持を垣間見れる。
冒頭でも述べたが、本作は戦争映画(特に日本の)特有の強い悲壮感をあまり感じさせないつくりになっている。(太平洋)戦争についてどうこう語れる立場ではないが、個人的には好感が持てた。 気になった点は、疎開先(?)の子供たちの血色が良過ぎたことだ。昭和20年ならばもう少し栄養状況は悪いはずでは?と思ってしまう。
主演の玉木宏をはじめ若手イケメン俳優が出ているためか、若い女性が多くて驚いた。 本作は刺激の強くない戦争映画として、多くの人に薦められる。地味目な作品なのであまりヒットしなさそうだが、過去の悲惨な出来事から何かを学ぶという点でも観てよいだろうと思われる。
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